永年特性カーブを計測していると、多極管の中には、3極管接続時に極めて素晴らしい特性を発揮するものが多くあることに気付きます。

それはあたかも3極管接続の為に生まれて来たような印象を感じずにはいられませんでした。そこで新たに Multielectrode Tube For Triode (3極管のための多極管)認定委員会を立ち上げ、ぜひ皆様に認識を新たにして頂きたく思いました。

こう書くと「そりゃ余計なお世話だ。」「そんな必要がどこにある。」「ガンの心配だけしてろ。」と一蹴されそうですが、すでに立ち上げてしまったので、2番手とし今回はGK-71を調べてみることにしましょう。

こ球の我が国における近代デビューは、プレート損失125Wで4000円台という価格や20MHzという帯域からも、むしろオーディオ管の到来と考えたほうが理にかなっていると感じました。

一方813の代用となるには、@ソケットが合わず Aプレートキャップが合わず Bヒーター電圧が合わず C背丈が若干高く物理的に搭載不可能など、保守用送信管の役目を果たしにくいと考えられますし、異常な安値の原因ともなっていそうです。


       


ところがこれをオーディオ用途に限って見ると、プレート損失が125もWあるので、845の75Wを超える100W超え動作でも熱的余裕があり、低内部抵抗(1kΩ強)の、リニアリティに優れた3極管となります。

取り扱いに関して言うなら、ソケットは813用の穴をわずかにタイル用ドリルで広げるだけで、基本的な位置の変更はなく、プレートキャップは14mmのアルミ棒中央に3mmの縦穴を貫通させ、横からイモネジで留めるようにM3タップ加工を施すと、市販の14mmプレートキャップがそのまま使えます。


       


   
      ヤフオクでGK-71アンプ製作支援キットとして出品した時の写真です。


フィラメント電圧については、パソコン用20V・3A電源がヤフオクで安く豊富に出品されていますし、電圧が高い分電流値が減るため、トランスによるフィラメント回路を組んでも、リップルフィルターが楽になるメリットもあります。

一方500V超えの動作電圧が不評なのは、主にコンデンサーの扱いに関わる点だと思いました。つまり500V100μF1個で良かったものが、700Vになったとたん400V100μFが4個か、200μFが2個必要となります。

そしてこの差はフィルターの段数に従いどんどん広がるので、安くて大容量のものを見つけないと、コストはもちろんシャーシ内のスペースにも困るでしょう。しかしぜひチャレンジしてほしいものです。


    


1200Vのプレート電圧により3極管として働かせた例では、ダンピングファクター5,6、ひずみ率30Wで3%以下、40Wで4%以下のシングルアンプが出来、おまけに出音の透明感がすごいのです。

思わず大人買いしてしまった行為については、管球マニアのすそ野を広げる役割の人間として反省していますが、それほどこの球の魅力は大きいと言えます。

私はMTFT認証委員会の第3副顧問相談員という立場から、このGK-71を第2回MTFT認証球として、是非皆さんに推薦いたします。


                     


このようにして認証がなされたため、今後は計測によるデータを基に、アンプの設計に入りたいと思います。




つづく