プアマンズパワーフロムチャイナ
FU50 SIGLE ENDED
6C33Cシングルでも述べましたが、C/Pdつまりプレート損失1Wあたりのコストがいくらかを非常に気にしている私にとって、絶対はずせないのがこのFU−50です。

ロシアのGU−50と同じながらさらに安く、ペアでなんと2200円。つまりコストCは1100円、それに対しプレート損失PdはKT88なみの40W!

そこで計算するとC/Pd=1100円/40W=27,5円/Wとなり、28円を割ります。なぜ???

この球の原型GU−50の登場時は、その風貌で良くも悪くも大注目されましたが、

@まず専用ソケットが不必要に大げさで、しかも価格が2000円程度と高すぎた。
Aさらにクールになってよーく観ると、お鍋のフタが乗っかっているみたいで、あまりカッコよくない。
BG2の耐圧が250Vしかないので3結シングルだと全然パワーがとれない。
                 (例:A1級で2W Ec=−20V RL=1,25kΩ Ip=160mA!)
C同じ理由でUL接続もつまらない。
D5結限定PPなら他に球がいくらでもある。(水平出力管とか)
Eボルシチはあんまり好きじゃない。

とまあ踏んだり蹴ったりの上、中国からわざわざ再デビューで元値が安く、しかも大量に在庫があるという結果が、このお値段なのだと思います。





しかし、最近はタイト製のソケットが300円から買え、そして、なんと言っても我々にはHVTCという奥の手があります。ただしルックスはそのままです。

40Wクラスの球だと今までの経験からEp=500〜800V、Pout=10W程度が一般的ですが、GU−50のサイトから3結のカーブを見つけたので、若干手を加え、さっそくロードラインを引いてみました。


      


まずEp=600V、Ip=60mAなら10KΩ負荷で12W出せる事がわかりました。ドライブ電圧は120V、プレート損失は36Wに収まっていて、なんとかなる動作でしょう。

よく3結時のプレート損失は、G2の損失を加えたものという記事がありますが、実際はプレート損失の増加にはほとんど寄与していません。

それどころか、実験ではむしろ減少していることが分かっていて、それはG2による電子の加速が原因であると分析しています。まったくG2は謎の多い電極です。

ただしG2に入れる100Ωの抵抗は非常に重要なので、これより大きな値にするのは良いですが、下げたり省略してはいけません。プレートよりほんの僅か低いと言うことが大切です。ですからG2にとって、UL接続は3結や小出力時の5結よりキビシイ動作といえます。

またこの抵抗はワット数も少なめで良く、800Vくらいまでなら1/2W、1500Vくらいまで1Wでよいでしょう。というのも万が一アクシデントで第1グリッドがプラス側にパワフルに振られたり、プレート回路が切れた場合、この抵抗がヒューズの役目をして球を守ってくれるからです。

つまりHVTCに「グリッド電流が少しくらい流れても大丈夫なので、力強い音がする。」などという、もっともらしいドライバーは、全く必要ありません。

ちなみに一般の回路で、かなり強力なドライバー使った場合でも、また入力トランスを使って、接続法をあれこれ工夫した場合でも、グリッド電流が流れ始めた瞬間には、必ず過渡歪が発生しています。

というのもA1級とA2級は特性グラフ上、等間隔に並んだ曲線の配列に見えて、実は0Vを境に全く異なる条件になっているからです。


      


あとは音質上、いかに自分がそれを無視できるかという程度の差を、各自が決めればよいでしょう。自分が作った可愛いアンプなら、「アバタもエクボ」だって有りです。

つまりハンドルやブレーキの調子が悪い車を前に、塗装による空気抵抗の違いを大いに議論するといった展開も、趣味の世界では一向にかまわないのです。ただし公道走行といった現実的話題は、ひとまず別の場所に置いておき、ごちゃ混ぜにならないよう気を付けましょう。

下の図ではバイアスが-92V位で、ちょっと厳しい動作ですがEp=525V、Ip=80mA、RL=7KΩの時やはり12W出せます。


        


シングル用中型OPTはタンゴの14KΩタイプがありましたから、流用しての7K使用も好ましいと言えます。なんと言ってもシングルの弱みは低域におけるインダクタンスの少なさですから。

いくら低出力時に周波数特性が低域まで伸びていても、ドカンと一発という時に、エネルギーがトランスをスルーしてくれないからです。

高域は10KHzも出ていれば十分で、あとは気分や思い込みや、おまじないなど、錯覚があらゆる場面で、こっそり極めて重要な仕事をしてくれます。

上のような選択肢の場合、ドライバーの最大出力電圧を考えると、600Vのほうが有利です。また、どうせ500Vを超えるなら、ケミコンの2階建ては同じで、むしろわずか25V差というのが許せません。

では実際の回路図を見てみましょう。














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やたらと安い、この球ってどーなの?
1、やたらと安い、この球ってどーなの?
2、驚きのパフォーマンス
3、2π(360度)ファン登場
4、新しい接続方
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